【ベストゲーム[n]選】Manifold Garden

MANIFOLD GARDEN ゲーム

はじめに

この作品は, 私の知る限り, 最もアートに近づいたビデオゲームだ.

この作品に触れた者はみなモダンアートの認識を改めさせられるだろう.

Kojinno Iken

最終的に何選になるか分からない私的なゲーム表彰の第1回。

今回は「Manifold Garden」(2019年)です。

基本的な情報

開発元

  • アメリカ合衆国に拠点を置く「William Chyr Studio

こちらはアーティストとして活動するWilliam Chyr氏によって設立されたスタジオです。

発売日

  • 2019年10月18日

対応プラットフォーム

  • PC:Windows、MacOS
  • コンソール:PS4、PS5、Nintendo Switch、Xbox ONE、Xbox Series X|S
  • モバイル:iOS(Apple Arcade)

多くのプラットフォームに製品展開していますが、
開発元の第1作品目でここまで手広く展開しているのは凄いですね。

ジャンル

  • 一人称視点のパズルアドベンチャーゲーム

公式ではジャンルを「A FIRST-PERSON EXPLORATION GAME WITH REIMAGINED PHYSICS」と称しており、
和訳すると「物理学を再構築した一人称視点の探索ゲーム」となりそうです。

こんな作品

フィールドは合わせ鏡のように無限にループする不思議な空間です。
そこにそびえる建築物を重力が作用する方向を変えながら潜り抜け、環境に組み込まれたパズルを解いてゴールである最深部を目指していきます。
開発元もこの世界感を「エッシャー風」と称しているように実在することが不可能な世界となっていて、だまし絵の世界に入り込んでしまったようなフィールド探索は唯一無二のゲーム体験です。

無限回廊
無限に続く回廊。実際には同じ空間がループしてる
幾何学模様
地平の彼方まで続く建築物の幾何学模様

シングルプレイ専用で、作中に会話を交わすNPCは存在せず、プレイヤーを襲うような敵性存在も居ません。
パズルを解くのにも制限時間はないので自分のペースでゆったりとプレイすることが出来ます。
さらに、画面上にはUIの類は一切なく、チュートリアルも操作ガイドが最低限表示されるだけ。
没入感を高めるために、少しでも雑音になり得るものは徹底的に取り除かれていて開発者の美意識を強く感じました。

ゲーム開始直後
実際のプレイ開始直後の状態。UIの類は一切ない
チュートリアル
チュートリアルも言語は介さず、操作方法をアイコンで示すのみ

ベストゲーム選出理由

秒でカートに突っ込んだ衝撃のトレーラー

規則正しく無限にそびえる異常な建築物群をティザートレーラーで拝見。圧倒的なスケール感に一目ぼれしてPC版(Steam)を購入。
高層ビルや巨大な地下貯水施設などに萌える方はこの「異常さ」から目が離せないのではないでしょうか?

公式トレーラー。高層ビルや巨大地下貯水池など大スケールな構造物好きは目が離せなくなる

鳥肌もののゲーム体験

プレイしてみると、ストーリーやNPCとの会話はなく、画面上にも一切UIがないため、フィールド探索とパズルに集中出来て不思議な世界を存分に味わえました。
特に建築物から無限ループする空間へのジャンプが格別で、どこまでも落ちていくスリルに鳥肌が止まりませんでした。

バンジージャンプを初めて経験したときの、頭が真下を向いた瞬間一気に重力に引っ張られる感覚が蘇る…

息をのむほど美しい映像

プレイ中多くの時間目にすることになる建築物はどれも色彩を欠いて無機質に表現されています。
その反面、パズルを解いたり、要所へ辿り着いたときに発生する演出はとても色鮮やかで、
無機質な建築物とのギャップも相まって強く記憶に残りました。

コントラスト
色彩が乏しい建築物と、色鮮やかなオブジェクト(持って移動中)の対比が美しい
カットシーン
フィールド上のマイルストーンに到達した時などに発生する極彩色のカットシーン

エンディングも特徴的で、今まで見たこともない映像美に感動。
言語化されたストーリーが無いにも関わらず、不思議で魅力的な世界の探索が終わったと明確に示されていました。

探索の終わり
探索の最後には圧巻の映像美が待っている

ビデオゲームに対する認識が変わった!

これまで30年以上ビデオゲームをプレイしていますが、ゲームというよりも壮大なインスタレーションを体験したような感覚は後にも先にも無く、
これがきっかけで、ビデオゲームは「開発者によって創造された電子的な芸術作品」であるという認識になったほど影響を受けてしまいました。

プレイした後で開発元のスタジオを率いるWilliam Chyr氏が物理学と経済学の学士号を取得しているアーティストだと知り、現実にはあり得ない構造物なのにとても現実的な説得力があるのはそういったバックボーンから成るものなのかと納得。
優れた美術品に触れた時のように、満たされたような興奮したような感情をビデオゲームで得られたのは、アーティストが作品に仕掛けた罠にまんまとハマってしまった証拠でした。

この作品に触れて
ビデオゲームが持つ芸術性を自分なりに言語化して出力(アウトプット)してみたい
と今このエントリーを書く動機を与えてくれたことが人生でプレイしてよかったベストゲームの選出理由です。

今もいつでもプレイできる状態でSteamのライブラリにある「Manifold Garden」は、私が所蔵するささやかな美術目録のひとつです。

私の美術目録
Cドライブがぱんぱんになろうが端末を変えようが、いつでもプレイできる状態にしておきたい大切な作品

おまけ

作品の公式HPも造りが凝っていて、デザインもそうなのですが、作品をプレイした方であれば思わずにっこりとしてしまう仕掛けがありました。遊び心ですね。

公式HP

↓↓↓公式HPを一番下までスクロールさせると…↓↓↓

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